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リレーエッセイ10月 essay

父                             深浦由美子


実家の仏壇にはたくさんの父の写真が飾ってあります。若い頃の父、公私ともに充実している時であろう父、晩年の父、どれも素敵な写真ばかりです。
 父が亡くなって2年半以上経ちました。母は今でも父との思い出話をうれしそうに話します。父の晩年、わがままで頑固な父に対して私達姉妹に父への不満をよく口にしていた母でしたが、今はやはり楽しい思い出ばかりが残っているようです。
 父は、仕事が大好きでゴルフ、登山が趣味でした。しかし、足を悪くしてからゴルフ、登山を諦めざるを得なくなり、少しずつ道具の処分を淋しそうにしていた姿が浮かびます。しかし、会社には毎日自分で車を運転し出勤していました。会社に毎日行くことが、生きがいのようでした。満90歳の誕生日を迎えるにあたり、免許更新にはりきって行ったものの視力検査で不合格となり、仕方なく車の運転もやめる時の父の残念そうな悲しそうな顔は忘れられません。
 その車の運転をやめた2週間後の金曜日、母の運転でいつも通りに会社に出勤し、翌土曜日の午前中は母と買い物を楽しみ、夜は姉、私、私の娘の5人で夕食を久しぶりに一緒にとりました。夜10時頃、父は急に「胸が痛い」と言って病院へ行きましたが、診察後の「大丈夫でしょう」との言葉に安心し、
1泊入院の予定で皆帰宅。その2時間後の日曜日早朝、父は息を引き取りました。
 父との最後の会話は、私「明日の朝には迎えに来るからね」 父「明日会社に行かなんたい」 私「明日は日曜日だから会社はお休みよ」 父「休みか・・はいおやすみ・・」と言って小さく手を振ったようでした。
 お父さん、本当にありがとう。そしてたくさんケンカした事もごめんなさい。「事業に口出しするなー!」と本気で怒られ、私も父を心配するあまり父にとって耳の痛い事もたくさん言いました。「歳だから車の運転はやめて」と言うと「お前より上手だ!」と言われ、またまた大ゲンカ。でも今は父に感謝する事ばかりです。お父さん、お疲れ様でした。お母さんのことも心配しないで大丈夫だから、ゆっくりおじいちゃんとおばあちゃんとおしゃべりしていてくださいね。
     




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