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リレーエッセイ1月 essay

私のターニングポイント                     澤田 貴保子


 私には30年以上愛して止まなかったスポーツがある。テニスだ。娘が1才になるのを待って、レッスンを始めた。広いコートでボールを追いかけ、ラケットがボールを捉えた瞬間、パーンとネットを越えていく、あの爽快感が私を虜にした。私は時を忘れてテニスに没頭した。やがてテニス仲間が増え、試合にも出るようになった。私が初めて優勝したのはソロプチミスト主催のテニストーナメントであった。初級レベルであったが、私のテニス人生の中で数少ない優勝経験の一つだ。試合ではソロプチミストの会長と理事の方々が最後まで観戦され、私たち選手を励ましてくださった。優勝トロフィーは感謝の気持ちとともに、いま私の部屋で静かに輝いている。
 その後、私はテニスに打ち込み、練習は趣味の域を超えていたかもしれない。やがて膝と腰の痛みに悩むようになった。痛みをこらえながらテニスを続けていた今年の夏、左膝が腫れ、真っ直ぐに伸ばすことができなくなった。とうとうドクターストップだ。大好きなテニスをやめなければばならない・・・まだ15年は続けたかった・・・左脚は動かない・・・止むを得ず、ラケットを置いた。もう未練が残らないようにテニス道具、ウエアなど一切を処分した。
 テニスをやめると世の中が灰色に見えた。華やかなコートで明るい声援を浴びることは、もはやなくなったのだ。心配した夫は勝手に代わりの趣味を考えてくれる。ピアノ、読書、コーラス、大学の公開講座等々・・・体を壊したのなら頭を使う趣味にしなさいとか、灰色の世界がますます暗くなるようなことを言う。どれも気が進まず、さまよっていた時に、ソロプチミストの方からお誘いをいただいた。私が初めて優勝したテニスの試合をお世話された団体だ。私のようなものがどれだけお役に立てるかわからないが、テニスのご縁と思えば真摯に奉仕活動に打ち込みたくなる。
 誰にでも人生のターニングポイントがあるが、私の場合、テニスを断念したことが立ち止まって自分の人生を眺める良い機会になったのかもしれない。30年間こもっていたテニスコートから飛び出し、ソロプチミストに入会させていただき、大好きなコンサートや宝塚歌劇に積極的に行くようになった。父や夫の仕事で住んだことのあるアメリカを思い出して、英会話もスタートさせた。まだまだ、やるべきことや、できることは沢山ありそうだ。ソロプチミストでいろいろな火を灯し、それを次の世代に伝えて行こうと思う。英語を使えば国境を越えることもできる。アメリカは夫が大好きな国だ。かつて訪れたナショナルパークを、もう一度夫と共に回ってみたい。    




 国際ソロプチミスト熊本−すみれ

<例会日>
 毎月第3木曜日 午前10時〜
<例会場>
 ANAクラウンプラザホテル
     熊本ニュースカイ

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