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リレーエッセイ 3月 essay

夫の散骨                              赤池常子  


 二月一日、夫のニ十回忌を済ませ、色々と二十年前の事が蘇って来ます。
ソロプチミストも夫の勧めで入会しました。松本さんをはじめ数名の方々と、熊本クラブさんから色々と説明、ご指導を頂き、国際ソロプチミスト熊本‐すみれが誕生しました。

            ・夫植えし垂れ紅梅咲きにけり
            ・初孫の誕生待ちて屠蘇祝う
            ・自分史の出版祝うさくら咲く
            ・シャンゼリゼの落葉土産に夫帰る
            ・冴え返る星空仰ぎ夫を恋ふ
            ・遺言の夫の散骨夏潮に

 三回忌を終え、姉妹四人でタヒチのボラボラ島に散骨に行きました。夫が言っていた青い空、奇怪な山々、目の覚めるような七色の海の天国でした。サンセットに合わせ澄み切った青い海に骨が少しづつ沈み別れを惜しみました。

            ・夫眠るボラボラ島の星月夜

  
                          ワインかけ夫の散骨夏潮に

 散骨の時は好きだったシャンペンをぬいて骨にかけ、姉妹涙を流して別れをおしみましたが、終は天国のような島で、乗馬や海底散走と一生忘れがたい旅となりました。
きっと夫が私にこの天国の島を見せたかったのだろうと思いました。夫も旅行が大好きで、色々世界を旅しましたが、一番思い出に残る大好きな島となりました。
 夫亡き後、友人たちと元気に、富士登山や海外旅行、温泉行き、食事会と遊びでスケジュールが一杯です。ソロプチミストには何のお役にも立ちませんが、出席だけは欠席無しで頑張っております。今後共宜しくお願い致します。
旅先で作った俳句ですが、見て下されば幸いです。

            ・山峡を上る船旅月高し
            ・合歓咲けるソウルの街を散策す
            ・ワイキキの浜辺にすわり花火見る
            ・夏雲やグランドキャニオン谷深く
            ・バリ島の神を信じて稲を刈る
            ・蛇皮線で歌う島歌浜の秋
            ・雪ぐつをはいて雪像めぐりかな
            ・行く春の古きトレドの石畳
            ・悠久のナイルの流れ月おぼろ
            ・ミイラ眠る王家の谷の猛暑かな
            ・リンゴ咲くリトアニア街の戦禍跡
            ・モロッコの街の迷路の西日かな
            ・旅路果つサワラ砂漠の日の盛り
            ・睡蓮の花咲くモネの庭を歩し
            ・咲き満ちて花の古希なる同窓会
            ・玉砕の島の時雨にぬれもして
            ・船上のディナー涼しく十字星
            ・夾竹桃咲けるベトナム戦禍跡
            ・黄昏のアンコールワット涼しかり
            ・満天の星空仰ぎオーロラ待つ
            ・シェイクスピアバラ満開の生家訪ふ
            ・旅惜しむカナダの空の大夕焼
            ・ナイヤガラ滝のしぶきを浴びてをり
            ・八ヶ岳仰ぐ村里そばの花
            ・聖ヨハネ黙示録跡岩すずし
            ・待ちわびしクルーズ出航鰯雲
            ・冷やましや聖堂地下のカタコンペ
            ・理事会も今日で交代古茶新茶
            ・花の旅エルミタージュ美術館
            ・オペラ座の拍手とまらぬ夏の宵
            ・聖パウロ斬首跡とや秋日射す
            ・妹と別れはつらし法師蝉
            ・町流す胡弓の音色風の盆
            ・夏帯を締めて祝いの喜寿を舞う
            ・秋日和赤の広場を散策す
            ・オリンピックソチの会場春浅し
            ・富士登山世界遺産の秋の雲

一句一句が人生そのものです。一句一句がかけがえのない分身なのです。愛おしいばかりの思い出の一句一句です。
俳句と旅が私の元気の源であり、生き甲斐であります。

  
    四姉妹タヒチの海のサングラス        島涼し乗馬を習ふ子ども達





 国際ソロプチミスト熊本−すみれ

<例会日>
 毎月第3木曜日 午前10時〜
<例会場>
 ANAクラウンプラザホテル
     熊本ニュースカイ

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